鉄筋コンクリート。いや違う、鉄コン筋クリート。僕の場合、後者の方が違和感なく聞こえてしまう。
なにをいってるんだ?っとそちら側から疑問を寄せている方、安心してください。そちらが正常です。
でも、言葉も人も、正常すぎるより少しだけ”異常”を感じられる方が面白く感じる時はないだろうか。
鉄コン筋クリートというアニメ映画
僕が鉄コン筋クリートに初めて出会ったのは、小学5,6年生くらいの頃。その日は田舎にあるお爺ちゃん家に家族みんなで帰省していた。
帰省をした日は必ず疲れ果ててぐっすり眠れるはずだが、その日は夜中に目が覚めた。
皆が寝静まった深夜1時、肌寒いリビングで、何も考えずにボーッとしながら、リモコンを手に取りテレビをつけた。
衝撃だった。
今までみたことの無い世界、街、絵。僕は亢奮した。
学校の友達と秘密基地を作ったり、ひたすら自転車を漕いで色んなところに行ったけど、見たことの無い世界。
地理の教科書で見る「外国」でもなく、人がたくさんいる地元の大通りでも無い。
生身の人間より人間味のある絵。子供だった僕には伝わり過ぎてしまう登場人物たちの感情が忘れられない。
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鉄コン筋クリートのストーリー

鉄コン筋クリートとは、僕の大好きなアニメ映画。あの大人気卓球漫画「PINPON!」や、「花男」などで有名な漫画家、松本大洋さんが描いた作品だ。
鉄コン筋クリートは、義理人情とヤクザがはびこる「宝町」という町に住む「ネコ」と呼ばれる少年”クロ”と”シロ”が主人公。
ある日、開発という名目でヤクザ、3人の殺し屋、蛇という名の男性が現れる。
実体不明の”子供の城”建設プロジェクトが立ち上げられることとなり、町全体が不穏な空気に包まれる。
町が変わってしまうことに反発を覚えたクロ・シロが、プロジェクトを阻止するために地上げ屋と戦っていく物語。
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異常なほど感情が伝わってくる

こんなにも登場人物たちの感情が伝わってくる作品は見た事がない。なぜこんなにも自分の心の中が侵食されてしまうのか。
それは松本大洋さんの描く「絵」に原拠があるのは間違いない。
知っている方は多いと思うが、松本大洋さんの描く絵は独特だ。生身の人間より人間らしい、不思議な世界観を持った絵はめちゃくちゃ魅力的。
この鉄コン筋クリートで描かれる「宝町」も、美し過ぎる程に違和感のあるカオスな町。工場チックな建物に、ゴチャゴチャした異文化風な町は、もはや統一感を感じる。
カオスが売りの単調映画ではない

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見ていただくとわかる事だが、カオスな世界観だけが売りの単調映画ではない。
この世界観だからこそ感じ取れる人間の怖さであったり、誰かに怯える時の感情、誰を求めたりする時の気持ちが確かにある。
気がつけば違和感を覚えた世界観・絵に魅了されている自分が居るのがわかってくる。
そして、シロ・クロという二人の子供が見せるまっすぐな感情に、心を震わされる。
違和感のある世界観だからこそ、不思議な感覚のまま涙を流す。気づいたら、抜け出せない。
ぜひ、時間がある時に観てみてはいかがでしょうか。
おまけ:鉄コン筋クリートを生み出したスタッフが再結集して作り出す、「ムタフカズ」が気になる

https://eiga.com/movie/87782/
鉄コン筋クリートを制作した事などで知られる「STUDIO4℃」がアニメーション制作を担当する、10月12日公開のアニメーション映画『ムタフカズ(MUTAFUKAZ)』がすごく気になる。こちらもかなり面白そうだ。